「亥の子餅づくり」

 
  「その夜さり、亥の子餅参らせたり。」
『源氏物語』葵巻には、このようなくだりで始まる場面があります。光源氏は、山のように積まれた亥の子餅を話の種にして、遠回しに三日夜餅(新婚初夜に食べた餅)を準備するように惟光にほのめかすというところです。亥の子餅というのは、10月の最初の亥の日に食べる餅のことで、これを食べることにより、一年中健康でいられるとか、また、猪がたくさん子どもを産むことから、女性が互いに贈り合う餅とされました。
 さて、この餅はいったいどんな形をしていたのでしょうか。『年中行事秘抄』に引用されている「或記」によると、それは“猪子形”に作るとされていますので、おそらく長楕円形、もしくは水滴形をしていたと考えられます。中には7種類の粉が混ぜられていたようです。『二中暦』には、それが大豆、小豆、大角豆、胡麻、栗、柿、糖であったと記されていますが、分量については何一つ物語るものはありません。何をどれだけ入れて餅を作ったかのは不明ですが、意外とこの配合は、家々で異なりそれぞれに“おふくろの味”があったのかも知れません。
 いつきのみや歴史体験館の11月の年中行事体験は、この亥の子餅づくりです。平安文学にも描かれた餅、亥の子餅づくりをとおして、古人の健康への祈り、また子づくりと子安への願いを垣間見たいと思います。

いつきのみや歴史体験館
TEL(0596)52−3890
FAX(0596)52−7089
年中行事でつづる平安文化
「亥の子餅づくり」
◆日にち/平成16年11月13日(土)
午後1時〜(約2時間)

◆定員/30名
◆参加費/500円

| HOME |